AP/FD NEWS Letter 2号
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キャリア支援部門長 上ノ山 周 就業力とは何でしょう。誰でも知っている企業に就職をさせ、その率が高いことをもって就業力が高いとは信じたくありません。自ら学びとり、自ら歩みゆく力を磨くことにより、自己が成し遂げたい業を鮮明にし、正しくその道に就く力こそ、就業力ではないかと私は考えます。大学は社会人として世に巣立つ直前の準備期間であり、自己を磨くには、この上ない最良の場です。学業の研鑽はもとより、国や世代を超えた人との出会いや恩師との邂逅を通じて、人間としてのバックボーンを形成する掛け替えのない期間となるはずです。さいわい横浜師範学校、横浜高等商業学校、横浜高等工業学校を前身として発足した本学には、きら星のような栄達が何人も居られます。この4月からは、横浜国立大学校友会もいよいよ始動し、ますますチャンスは広がるでしょう。志を高くし、失敗を恐れないこと、もっと言えば、大学生の内に色々な失敗を経験しなさいと訴えたいぐらいです。ただそのためには、タフで明るさを失わないことが重要です。学生さんに訴える前にまず私達がそのようであるべきと考えます。特権の宝庫ともいうべき学生時代を最大限活かし、完走してもらいたいと切に願います。そして私達教職員は、その良き伴走者であり続けたいと考えます。2014年度春学期公開授業が開催される就業力の涵養に向けて公開授業 「化学EP実験Ⅰ:導電性高分子の電解合成と物性評価」跡部真人 教授授業公開日: 平成26年7月3日(木) 授業時間: 2限~4限対象学生: 理工学部化学・生命系学科3年 受講生数: 17名授業形式: 実験実験の説明をする跡部先生授業の進め方 化学EP実験Ⅰは化学EPの3年生の必修科目であり、72名の履修生を4グループ(A-1、A-2、B-3、B-4)編成にして、化学の諸分野にわたる12の実験テーマをローテーションして行っている。標題の実験については、各グループが1回ずつ履修しており、7月3日は4つ目のグループの17人を6班に分けて実施した。 実験内容は、1970年代に白川英樹博士により開発され、2000年のノーベル化学賞の対象となった導電性高分子を、学生自身が合成し、外部電圧に対する電気の伝わり易さや酸化状態、還元状態による色調の変化などを観察している。予め実験に関する理論および実験操作、ならびにレポートの作成方法、参考文献の記載された実験指針(12の実験テーマについてそれぞれ記載されたものをEPで作成)が学期の初めの全体オリエンテーションで配布され、それぞれの実験について簡単に説明される。さらに、実験当日に実験の背景や実験操作について十分に時間をかけた説明が行われる。学生が理論的側面を理解して実験し、観察が十分できるように、時間配分に関しても配慮されていた。授業の工夫 実験はノーベル化学賞の対象となった内容であるが、簡単な手作りの実験器具を用い、実験操作も容易である。また、水系を用いるなど安全性も考慮されており、博士課程前期1年のTA3名と博士研究員1名が実験の準備や、当日の指導補助について適切に役割を果たしていた。また、学生が実際に作成した物質を用いて色の変化を見みるなど、学生の興味を引くようによく工夫された実験内容であった。担当教員から一言 実験を行うにあたっては、一つ一つの実験操作を行う意味を十分に考えてやってほしい。また、実験後の復習も含めて導電性高分子の理論的側面をしっかり理解し、実験で実際にそれらの理論に基づいた観察ができているか、確認してほしい。レポートについては、理論的な背景、観察事項、実験結果、考察を記載するが、最も重要なことは、自分で理解し、自分の言葉で記述することだ、という事であった。YNU AP/FD NEWS Letter2

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