AP/FD NEWS Letter 2号
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板書で株価について解説する鈴木先生当日の授業の様子公開授業 「歴史文化概論」松原宏之 准教授授業公開日:平成26年7月3日(木) 授業時間:3限対象学生:全学部1~4年 受講生数:約60名 授業形式:講義授業の進め方 この授業では、歴史に解釈を加え、背景にある社会を含めて理解する歴史「学」を習得させるための授業を展開している。全15回の授業では、シンプルな歴史の読み解きからはじめ、学生自身が納得できるかどうかについて問いかけ、さらにそうした評価の妥当性を議論させることで、歴史学における歴史を理解するための方法を学ばせている。本公開授業では、19世紀の都市と公衆衛生を題材に、なじみのあるロジックによる歴史の読み解きから見いだされる学生自身による歴史的な解釈について、様々な資料を提示しながら解説していた。 授業では、はじめに、この授業科目で目指すことを学生に話し、当該授業で着目する内容へと導入した。授業では、板書とプロジェクタを併用して内容を解説し、具体的な歴史的な話題から疑問を提示し、そこから導かれる対立する意見について、語りかけたり、発問を促したりすることで、授業内容への理解を深めていた。授業中には時折、この授業科目全体の目的についてふり返っており、当該授業の内容だけでなく、今後の授業で学生自身が考えるべき問題を意識させていた。これらのことを通じて、この授業では、受講する学生らに歴史学における方法論を具体的かつ体験的に学ばせている。授業の工夫 学生自身で勝手に内面化された歴史的な解釈への気付きを促すため、授業構成が工夫されている。例えば、授業では当たり前と思っているロジックの説明から入り、語りかけながら、ヒントを与えながら、学生自身の考えを揺さぶり、異なる意見を生み出すきっかけを作っている。また、本公開授業とは別の時間ではあるが、学生同士によるディスカッションを取り入れて、様々な対立意見を出させることにより、内面化されたものへ疑問を抱くように促している。こうしたことで、全15回の授業を経た後、歴史に対する異なる意見を学生自身に気付かせるように意図された授業構成となっている。担当教員から一言 学生は「なにかおかしい」と思っていることが多い。ステレオタイプなものの見方や考え方から脱却できるように学生自身へ適切に働きかければ、新しいアイデアや別の社会のあり方についての意見が出て、授業が楽しいものになる。授業において、学生に語りかけるように話しているのは工夫の一つであり、学生の考えや思いを揺さぶって、そうした学生自身の意見を聞き出したいと考えている。公開授業 「ファイナンス」鈴木雅貴 准教授授業公開日:平成26年7月9日(水) 授業時間:1限対象学生:経済学部 3~4年 受講生数:約50名授業形式:講義授業の進め方 この授業では、学部3~4年生向けのファイナンスの講義として、投資家の意思決定問題や資産価格理論、およびその他の関連する様々なトピックが扱われています。 授業のテキストは特に指定されておらず、毎回教員が用意した資料に沿って講義が行われます。この講義資料は、事前に授業支援システムにアップする形で学生に配布されており、学生が授業前に講義の概要をつかめるようになっています。 また成績評価については、授業中の課題3割、定期試験7割で行われます。この比率の通り、基本的には定期試験の結果が重視されていますが、講義期間中に学生に課題を解かせ、それを提出させることによって、学生の授業内容に対する理解度をチェックしています。授業の工夫 まず特筆すべきは、板書による説明に重点が置かれている点です。その理由を先生にお尋ねしたところ、PowerPointのスライド等を利用して解説する方法もあるが、あえて手間のかかる板書をすることで、講義を聴いている学生に考える時間を与えることが狙いとのことでした。確かに、学生の目線で見れば、未知の内容を自分なりに解釈し納得するには、こうした「間」が設けられていた方が、全体としては効率的に理解できるのかもしれません。 また、授業構成の面では、ファイナンスの基本的な事項が一通り網羅されている点が特徴です。これは一見当たり前のようですが、扱う事項を増やせば増やすほど、各項目の説明に割ける時間は少なくなります。先生によれば、この講義ではあえてファイナンスの様々なトピックに「広く浅く」触れることを重視しており、各項目の説明は、学生が興味を持てば関連する参考書を読める程度にしているとのことです。これも学生の自発的な学習を促す工夫と言えます。担当教員から一言 授業では、学生に対して、単に講義を聴いてわかったつもりになるのではなく、学んだ内容を自分で確かめてみることが重要であると強調しています。講義形式なので、どうしても学生が受動的になりがちですが、自分で手を動かして身に着けた知識こそが血肉となりますので、繰り返し復習の重要性を説いています。公開授業 「人的資源管理論Ⅰ」二神枝保 教授  平成25年度ベストティーチャー賞受賞授業公開日:平成26年7月17日(木) 授業時間:2限対象学生:経営学部2年~+他学部 受講生数:約500名授業形式:講義授業の進め方 授業のはじめに、パワーポイントのスライド資料(書き込み形式のもの)を学生に配布し、その後、スライドをもとに授業を進めていました。理論の説明には、理解しやすい例え話(プロ野球と高校野球の監督が果たす役割のちがいなど)を用いていました。指定された教科書を持参している学生もいましたが、これは、授業中に使うというよりは、予習・復習に役立ててもらうために学生にお薦めしたものだそうです。 二神先生は時おり受講している学生のそばを歩きながら問いかけ、学生にマイクをむけて解答させたり、学生に授業テーマと関連する心理テストを受けさせたりと、学生が主体的に参加し、インターアクティブ(双方向)となるような形式で授業を進めていました。  授業の終盤では、授業で学習した理論を用いて、学生の身近な体験や事例を分析するミニテストを実施していました。これには、出席管理や授業内容の理解を深めるといった目的もあるとのことでした。授業の工夫 二神先生にうかがったところ、受講する学生が主体的に授業に参加できるような工夫をしているとのことでした。たとえば、スライドを書き込み形式にしたり、学生同士でディスカッションする時間を設けたり、授業中に課題を解かせ、優秀な答案は次回の授業中に紹介して学生へのフィードバックを行うといったことが挙げられます。また、学生の理解を促進させるための工夫として、適宜、授業で解説した理論と身近な体験や事例を結びつけるようにしているとのことでした。 なお、当日はチャイムと同時に授業が終わりましたが、二神先生は授業をいくつかのブロックに切り分けて時間管理をしているとのことでした。担当教員から一言 学生に対しては、「授業の内容に高い関心や問題意識を持って受講してほしい。将来企業などで働くうえで授業で学んだことを役立ててほしい。」と期待を寄せていました。 また、新任教員の方々に対して、「学生が楽しみながら学べるような授業をしてほしい。そのためには、こちらが心から楽しんで授業をおこなうのが何より大切だ。」とのメッセージをいただきました。3

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